物理の学力をつけるには

 今現在物理がまったく分からないという人でも,しっかりと取り組めば,本番で満点が狙えるほどの力が付けられます。そのためにはやるべきことをしっかりとやる必要があります。ここでは物理学力を付けるための心構えを伝えます。

1. 講義をしっかりと聴く。

 本HPの動画を見るなり解説書を読むなりして,その内容すべてを理解してください。解説書の内容で重要なのは結果(公式・法則)ではなく,それが導かれる筋道なのです。これは問題を解くときのヒントになるものです。これがしっかりとしていると、問題文を読んで自らの力で考えることができるようになります。
 加速度が理解できていないのに力を理解するのは無理です。力が理解できていないのに仕事を理解するのは無理です。必ず、基本から順番に理解していって下さい。

2.自力で公式誘導

 動画を見たり解説書を読んで理解しても,まだ問題を解くには不十分です。講義で誘導された公式・法則を自力ですべて納得しながら誘導してください。この誘導過程が物理知識を身につけるために最も重要なものと考えてください。誘導事項は各単元名に「しおり」としてリンクしてあります。このしおりに挙げられている項目をすべて誘導してください。分からなければ,解説書を見直すなり、動画を見直すなりしてください。
 この公式誘導は必ず動画や物理解説書で理解した当日行ってください。一度理解してから日数が空くと自力で証明できなくなり,学習効率が悪くなります。
公式誘導とは誘導過程を覚えることではありません。一行一行自らで納得して結論まで導けるようにするという意味です。解説書を見ながらで構いません。誘導過程のすべての行を納得することが大切です。本番までには何も見ないで誘導できるようになっておけば完璧です。

3. 重要問題集(入試問題集)を解く

 公式誘導をすべて納得した上で完了した段階で重要問題集(入試問題集)を解くための物理知識は充分についています。しかし,実際に入試問題を解くためには。まだ不十分な点があります。それが,「物理知識の定着」,「思考力」,「文章読解力」です。この3つの力がそろって初めて入試問題を解く力がつきます。この3つの力を一挙に付けるのが重要問題集の演習です。
 重要問題集は問題文が長く戦意を失ってしまいがちですが,公式誘導が完了した段階で,重要問題集の問題を解くための必要な物理知識はついています。安心して問題に取り組んでください。以下はそのための注意事項です。

 ①  問題文を意味が分かるまで何回も読むこと。

 問題文を何回も読むことで文章読解力を鍛えています。公式誘導が完了していれば,物理基礎知識はあるはずなので,知識不足で理解できないということはないはずです。何回も読めば,必ず意味が分かります。意味が分かったら,簡単に解ける問題が意外に多いことに気づくはずです。

 ②  1問に最低20分は考えること。

 一般的には反復で記憶の定着を図りますが,ここでは悩むことによる記憶の定着を狙っています。人生において悩んだことは一生忘れることはありません。20分以上しっかりと悩んでください。記憶が定着すると同時に思考力がつきます(反復では思考力がつきません)。20分という時間は,ある研究者が発見した思考力を付けるために必要な最小時間なのです。記憶が定着しなかったら同じところを何度もやらなければならないのですが,しっかり悩んで力をつけた場合,最低1ヶ月は抜けなくなるようです。1ヶ月以上たったら再度同じ問題に挑戦してみてください。思った以上に抜けてないことに気づくはずです。仮に抜けていても公式誘導のやり直しをすれば、すぐに解けるようになるはずです。

 ③  実力で半分解け,解説を読んで最後まで理解できれば良い。

 実際に重要問題集の問題を解こうとしたとき,一つの大問に対して問題を読んで小問を半分ぐらいまで実力で解くことができ,かつ,最後まで解説を読んで理解できることが重要です。このどちらかが満たされていなければ,ここまでの何かが不十分だと考えてください。
解説を読めば分かるが実力で小問の半分まで解けない場合は,その原因として,問題文をよく読んでいないか,思考力不足が考えられます。問題文を何回も読み,じっくりと考えれば半分は実力で解けるようになると思います。
 実力で半分までは解けるが,解説を読んでも最後まで理解できない人は,その原因として,落ち着いていない,あるいは,集中していない可能性が考えられます。落ち着いてじっくりと取り組んでください。解決すると思われます。
 実力で半分まで解けず,かつ,解説を読んでも理解できない人は,公式誘導が不十分と思われます。公式誘導をやり直してください。
ここまでを講義を聴いたあと数日以内に行ってください。日数がたつと問題が解けなくなり,さらに解説を読んでも理解できなくなります。講義+公式誘導をしてから問題を解くことができるようになっている期間は数日間だけです。この期間を無駄にしないで下さい。この期間が過ぎてしまうと講義を聴くところから再びやり直すしか方法がありません。すなわち時間のムダです。これを継続して実行すれば、模試偏差値30前後の人でも東京大学の入試問題でも解けることに驚かされ、感動するはずです。

 共通テストまでに重要問題集を1回通り解き、共通試験後に、あと2回通り解き、本番の3日前ほどに過去問にチャレンジしてみてください。おそらく、全て解けるはずです。そして、自信をもって本番に臨んでください。満点を狙うレベルの力がついているはずです。

4. 共通テストマーク問題について

 重要問題集は物理の基礎概念の理解,問題文を読みこなす能力を養成するには良い問題集です。二次試験の得点力を稼ぐには重要問題集で十分ですが,共通テストの得点力の養成には向きません。重要問題集の問題を解くと同時に,理解した単元のマークの問題も解いてみてください。