Q&A

Q:講義内容が理解できないのですが,どうしてでしょうか?私に能力がないのでしょうか?

A:能力がないと言うことで,物理が理解できなかったという人は過去にはいません。何人かこのような相談を受けたことがありますが,悉く,算数を理解していないというのが理由でした。特に算数の割り算及び比例反比例をどこまでで理解しているかということにかかってきます。高校生であれば一応計算はできると思いますが,意味が分かっているかどうかが重要なのです。今まで,距離や速さの計算のときに「ハキジ」や「ミハジ」などを三角形で表したものを使って計算してきた人は,これが便利なだけに意味を考えずに正解を出してきたはずです。そのために,割り算の意味が分からなくなっています。「8 物理数学」の中に算数という項目があります。それを読んで理解してから,改めて講義を聞いてください。
 算数が分からないという人も高校生なのですから,一度読めばあっさりと理解できるはずです。やってみてください。

Q:講義を聞いて理解した後,公式誘導しようとしてもできません。どうしてでしょうか?

A:いくつかの理由が考えられます。過去に相談を受けた事例で最も多かったのは,講義を聞いてから数日たって公式誘導しようとした人でした。講義を聞いて理解したのはいいのですが,数日たつ間に忘れてしまって,公式誘導ができなくなったと考えられます。講義を聞いたら忘れる前にすぐに公式誘導してください。
 次に多かったのが,基礎段階なしで,いきなり,高度な公式誘導をしようとした人です。加速度が理解できていないのに,力をやったり,力が理解できていないのに力のモーメントをやろうとした場合です。基礎が理解できていないのですから理解できるはずがありません。順番に理解していってください。
 次に多かったのが,理解したつもりになっている場合です。しっかりと講義内容を理解していないのに公式誘導をしようとしたらこのようなことになります。時間がないからとすっ飛ばしてやらないでください。余計に時間がかかります。講義内容を確実に理解してから公式誘導してください。
 また,講義の最初のほうの一見くだらないように見える話を省略している場合も理解できない例にあります。一見くだらないように見える話はイメージつくりのためにしています。それを省略してその後の公式誘導に力を入れている場合はイメージができていない状態で公式誘導することになるので,理解不能になります。この事例報告は電場の講義に多いようです。

Q:公式誘導とは何ですか?誘導過程を暗記すればいいのですか?

A: ここでいう公式誘導とは,誘導過程を暗記することではありません。誘導過程を見ながらでいいので,1行1行「なぜその式が出てくるのか?」「なぜそのような式変形をするのか」「なぜそのような考え方をするのか」を説明できるようにするという意味で公式誘導と呼んでいます。
 講義の中や,問題集の問題を解くときに,わからない式が出てきたのかと思ったらその公式を誘導してください。そして,わからない公式をなくしていってください。そうすると本番受験のときにはわからない公式は全くない状態になっているはずです。本番でわからないことがないので満点が狙えるレベルになっているはずです。
 わからないのが出てくるたびに公式誘導するのですから,同じ公式を何回も公式誘導するということになります。実際に卒業生も「何回公式誘導したかわからない。」と答えています。
できれば,本番直前には何も見ないで誘導できるようになっていれば,いうことなしです。実際の入試問題の中には公式誘導過程がそのまま出題されることが結構あります。その場合は余裕となります。

Q:式誘導しても重要問題集の問題が解けないのですがどうしたら良いでしょうか?

A:公式誘導した後でも重要問題集が解けない理由は色々とあります。順番に説明します。
①  公式誘導してから重問に入るまで,間が空いている。
公式誘導から重問までが数日空いていたら,その間に忘れてしまうので解けなくなります。その場合,もう一度公式誘導する必要があります。時間の無駄となりますので,公式誘導の直後に問題を解いてください。
②  文章を読む力が弱い
長い文章に慣れていない人が文章を読んでいる間に訳が分からなくなって解けないというパターンです。これは,問題文をわかるまで何回も読むことで解決します。「本番で何回も読むわけにいかない」と思いがちですが,人間の能力は次第にアップします。最初は何回も読まなくては理解できなかったものが,繰り返していると,だんだん早く理解できるようになります。過去の例では,どんなに国語力に自信がない人でも1か月で読めるようになっています。すぐに読めるようになるようなので,頑張りましょう。
③  大問の前半部分は解けるが最後まで解けない。
これは,気にする必要はありません。前半分が実力で解ければ,その単元はクリアしたと思ってください。ただし,最後まで解説を読んで理解できることが条件です。
④  問題文を何回読んでも理解ができないし,解けない。
この場合は公式誘導が不十分と考えられます。公式誘導を一つ一つを確実に理解しながら,改めてやり直してください。

Q:重要問題集の問題を解いても忘れるので,次に解くまでにどれぐらい開ければよいのでしょうか?

 A:公式誘導してから重要問題集を解くのは記憶で解いているのではないので,数か月空いても気にすることはありません。気になる人はもう一度解いてみても構いませんが,思っていた以上に解けるはずです。仮に解けなくても公式誘導のやり直しをすれば問題なく解けると思います。

Q:重要問題集はどのようなペースで解けばいいのでしょうか?

 A:一般入試で受験する場合は11月末までに1回通り解いておけば大丈夫です。共通テスト後に2回通り解いて,本番を迎えれば,出題された問題のほとんどを解くことができるはずです。記憶で解くのではないので,2回目は驚くほど早く解け,3回目は過去の例では,1週間で1冊が終わるほどのスピードになっているようです。
 私立大学が第一志望の人は,共通テスト後に2回通り解くのは難しいと思いますので,それまでに2回通り解いておくとよいでしょう。
 総合型選抜や推薦入試で,物理の記述試験が課されている場合は,それまでに2回通りは解いておきましょう。

Q:赤本はいつごろから取り組めばいいのでしょうか?

A:赤本は3日もあれば十分でしょう。重問を3回通り解いておけば,赤本の問題はおそらく楽勝です。本番の3日前ぐらいで大丈夫です。気になる人は1週間ぐらい前でも構いません。重問を解いていないのに赤本に入っても,おそらくほとんど解けないはずですから時間の無駄となります。

Q:わからない問題に出くわしたら,どれぐらい考えればいいですか?

A:20分程度以上考えている人と、そうでない人との間の学力に大きな差が出るという研究結果があります。それを元にして,20分程度を勧めています。あまりに短いと考える訓練にならないし,長すぎると時間に無駄が生じます。この方法は考えることによって,記憶の定着を図っていますので,考える時間が短すぎると,力が付きにくいといえます。

Q:重要問題集は前半分ぐらい実力で解けますが,後半は解けません。どうしたら良いですか?

A:過去の経験から重要問題集は「証文の前半部が実力で解け,最後まで解説を読んで理解できる。」これをクリア条件としています。これがクリアできている人は最後に大きく伸びていますが,これができていない人は伸びていません。最後まで解けなくてもこの条件を満たしていれば,問題ありません。2回目,3回目では全部解けるようになっているはずです。

Q:公式誘導後の問題集として重要問題集以外ではいけませんか?

A:重要問題集は長い文章を読み解く力を同時に養成しています。長い文章の問題集なら何でも構いません。文章の短い問題集は,記憶に頼ってしまって,意味を考えるという訓練になっていないようで,過去に力がついていない事例があります。

Q:重要問題集は共通テスト対策にはなりますか?

A:重要問題集は公式を覚えていなくても,意味だけでかなり解けます。しかし,文章の短い共通テストは意味だけでは解けないようです。公式暗記が必要になります。過去には暗記が嫌いということで,公式誘導の速度を上げて満点を取った人もいますが,公式を覚えたほうが楽と思います。共通テストは,時間のわりに問題数が多いので,一々公式誘導していたのでは時間不足になってしまいます。問題を早く解くための公式暗記です。
 そのような訓練が必要ですので,共通テスト対策としては,公式誘導後にマーク式問題を数多く解いてください。

Q:公式は暗記しなくてはいけませんか?

A:重要問題集は文章が長いために,公式を覚えていなくても,意味が分かっていれば,流れでかなり解くことができます。しかし,文章の短い問題は,流れに乗って解けないので,公式暗記が必要なようです。時間さえあれば,その場で公式誘導して解くこともできるのですが,時間がない場合は公式暗記していないと解けません。

Q:重要問題集の問題は解けるのですが模試の問題は解けません。どうしたらよいでしょうか?

A:模試の問題と重要問題集の問題は形式がかなり違います。模試の問題は文章が短いのが特徴です。公式や解き方を覚えて説くのを前提としているようです。模試の問題が解けても重要問題集の問題が解けなければ,本番の個別試験問題は解けません。逆に模試の問題が解けなくても重要問題集の問題が解ければ,本番の個別試験問題は余裕で解けます。「模試と本番はどちらが重要か?」で判断してもらえばよろしい。
 しかし,共通テストは文章が短いので,マーク式模試結果が大きく影響します。マーク式問題は公式誘導した後,数多くの問題にあたることをお勧めします。この場合,記憶が中心となるので,忘れている可能性が考えられます。過去問もチェックして,常に解けるようにしておいてください。

Q:二次対策と共通テスト対策はどのようにすればよいでしょうか?

A:物理諸量のイメージ形成が第一です。講義を聞いて重要問題集を解く。ここまでは共通です。重要問題集までこなしていれば,イメージ形成・思考力はついていると思いますが,記憶部分が怪しいと思われます。そのためのマーク演習です。この部分は忘れやすいので,定期的に反復してください。

Q:自分にとって物理は共通テストまでしかいらないのですが,重要問題集は解かないといけませんか?

A: 重要問題集を解くことの目的は,文章読解力・思考力の養成にあります。各単元1問か2問程度重要問題集を解いてからマーク演習に入ることをお勧めします。
 あと大切なのは,「二次試験で物理はいらない」と思っていた人が,共通テストで計画通りの点数が取れず,物理が必要な大学を受ける羽目になったときが大変です。重要問題集を少しでも解いていれば,何とかなりますが,やっていない場合は悲劇が訪れます。

Q:重要問題集を一問解くのに,ものすごく時間がかかります。どうしたら良いですか?

A:重要問題集は慣れないうちは時間がかかりますが,やっているうちに慣れてきますので,次第に早く解けるようになりますので,気にする必要はありません。時間がかかっているということは,その間に考えているわけですから,思考力がついていると考えてください。簡単に解けてしまえば思考力は尽きません。じっくりと時間をかけて考えているときにつきます。

Q:重要問題集は共通テスト直前までやらなければいけませんか?直前はマーク問題に集中したいのですが。

A:過去の例では大体11月末まで重要問題集を中心にやり,12月以降マーク問題対策に取り組んだ場合がうまくいっています。マーク演習を早くやりすぎた場合はマークの得点力が早く上がりすぎて,ほかの教科に時間をかけ,マーク試験本番では忘れてしまっていたという事例があります。

Q:重要問題集を2回目に入ったのですが,1回目に解いた内容をほとんど覚えていて,2回目の練習にならないのですが,どうすればいいでしょうか?

A:記憶力のある人は前回の解き方を覚えていると思います。その場合は別の長文の問題集を購入して解いたほうがいいでしょう。きれいに忘れている人は2回目,3回目と同じ問題集を解いても訓練になります。

Q:重要問題集を3回解いて本番を迎えると,どのような成果が期待できますか?

A:過去の事例では,受験生のほとんどに「何割程度できたか?」と聞いて,その平均をとったところ8割程度の出来だったようです。成績開示をした人からの報告では,予想点と近い正答率でした。また,しっかりと記述する問題が出た大学の成績開示結果は予想点よりかなり高い場合が多いようです。「3割しかできていない。」と報告した人が,成績開示すると「68%の正答率だった」こともありました。本人が最後まで答えが出せたのが3割程度だったが,部分点が追加されたために,このような結果が出たのであろうと推定します。
 重要問題集をしっかり解けるようにした人が,共通テストを失敗したとき,E判定ながら物理の配点が異常に高い大学をあえて選択して受験し,大逆転合格をした例が何例かあります。
 重要問題集を解いておくと長文に強いために,他の受験生を圧倒するようです。「見やすい問題だ,これでは逆転できない。」と思った人が,周辺の受験生の答案をチラ見したところほとんど白紙だったという報告はかなりの数来ています。
 また,大学では暗記で問題を解くことはやりません。そのため,大学入学後に本領が発揮されます。大学入学後の授業がかなり楽勝であるという報告を多数受けています。特に電気関係でその差が顕著だという報告があります。

Q:自分は物理が全く分からないのですが、それでも力はつきますか?

A:全く問題ありません。過去に3年次10月最後の記述式模試で0点を採った人が、二次試験本番で「満点かもしれない」と報告している例があります。また、同じ模試で偏差値35だった人が浪人し、予備校で受けた最初の模試で偏差値75だったという報告もあります。努力を積み重ねていけば、必ず力が付きます。
 今まで対応した中に能力がないから力がつかないと判断した人はいません。重要問題集が解けないと報告した人は、悉く、能力がないのではなく、やり方が間違っているのが原因でした。やり方を間違えなければ、必ず力が付きます。
 自身がない人は、だまされたと思って、「加速度」だけを、講義を聞いて、公式誘導して、重要問題集を解くという流れでやってみてください。重要問題集の各大問の前半部が実力で、最後まで解説を読んで理解できればOKです。加速度でこの条件がクリアできれば、やり方は間違っていませんので、同様に全単元をこなせば、信じられないような力がついているはずです。
 過去に、「加速度」はできたけれど次の「力」ができないという人はいました。その原因は「作用反作用」を理解していないのが原因でした。複数物体があったら、必ず作用反作用の法則を使うようにしてください。これができれば、「力」はクリアできるはずです。この後の単元は、それまでできていたが、ある単元から後ができないという人は今のところいません。

Q:物理の入試対策はいつごろから始めれば良いでしょうか? 

A:早く始めれば始めるほど比較的楽に力が付きます。過去の最短記録は実例の最初に紹介しているAさんで、0からやり始めて2週間で本番を迎えた例があります。本番で8割は取れたと報告しています。2週間でここまで力をつけることは可能ですが、相当きついと思います。県総体が終わった6月ごろから始める人が最も多いようです。きっかけがあるとやりやすいと思いますので3年になった時からや、夏休みに入った時から始めるといいと思います。後になればなるほどきついので、早めに始めるほうがよいでしょう。

Q:今2年生なのですが、物理の学習はどのようにすればいいですか?

A:講義(動画)を聞いて、そこに示された法則・公式を誘導することです。一行一行すべて理解したうえで導いてください。誘導過程を暗記する必要はありません。その後に問題集の問題を解いてください。解く問題集は各自の思いによってなんでも良いですが、本HPに示されている内容では、基礎に自信がない人は、「基本問題集」、公式誘導を確実にしたい人は「証明問題集」がいいと思います。また、基本を反復したい人は「ドリル問題集」がおすすめです。
 市販の問題集でもかまいませんが、市販の問題集は文章が短いので、意味を考えながら解くというのは不向きとなります。文章の長い発展問題か総合問題にチャレンジしてみてください。「そんなの解けるわけがない」と思われるかもしれませんが、「重要問題集」と同じで、問題文を何回も読んで、問題の意味が分かりさえすれば、簡単に解けるはずです。わからなくても問題文を読んで、「これはどういう意味なのか」と時間をかけて考えてください。意味が分かった瞬間に解けるはずです。暗記している人はこの芸当ばできませんが、公式誘導している人は、物理用語の意味が分かっているはずですので、問題文の意味さえ分かれば、「発展問題」や「総合問題」も止めるはずです。
 最後に読む力を鍛えるために、本HPの長文問題にチャレンジしてみて下さい。物理の意味が分かって、長文が読めれば完璧です。

Q:重要問題集の問題を解いてみた結果、答えはあっているのですが導き方が解説と全く違っていました。この場合どうすればいいのでしょうか? 

A:これはむしろ喜ばしいことではないでしょうか。公式誘導によって意味が分かっているからこそ、解説と別の解き方ができるのです。業者に確認すると、問題集の解説は複数の人物が書いており、解き方が統一されていないそうです。その結果、解説の解き方にこだわっていたらかえってわからなくなります。筋道が通って答えが合っていればどのような解き方でも構いません。ただし、簡単な解き方の方がよいでしょう。自分が解いた解き方より解説の時方の方が簡単だったら、参考にしましょう。そうでなければ無視してかまいません。

Q:公式誘導だけで問題を解かなかったらどうなりますか?

A:公式誘導で物理が「わかる」状態になると思います。しかし,「できる」状態にはなりません。知識の定着も十分にできていませんので,しばらくすると理解した内容が抜けると思います。しかし,一度理解していますので,もう一度公式誘導すると,すぐに「わかる」状態になるでしょう。入試突破のためには「できる」状態にしなければなりませんので,「わかる」状態にした後問題集の問題を解きましょう。
 「わかる」状態にした後問題を解けば,問題を解くときに考えるために思考力がつくと同時に復習となるので,「できる」状態になると同時に理解した内容が抜けにくくなります。抜けない状態で次の単元を学習すると,それらの知識が積み重なっていきますので,楽に抜けない確実な力がつくようになります。そして,この学習方法でつけた力は大学入学後にも抜けていないので威力を発揮します。学習した内容は一生の財産となることでしょう。

Q:公式誘導せずにいきなり問題集の問題を解くとどうなりますか?

A:このような学習をしている人が多いと思いますが,理解していない状態で問題を解いているわけですから解き方の暗記になっています。わかっていないため抜けるのが速いと思われます。最初はまだいいのですが,学習が進めば進むほど記憶する量が多くなり,同時に抜ける量が多くなります。最終的には記憶する量と忘れる量が等しくなり,いくら学習しても全く伸びないという状況になります。このような状況ですから,「わかる」状態にしてから問題集に取り掛かった人に比べて,実力差は次第に広がっていきます。最終的には大差をつけられていることでしょう。さらに大学入学後まで,この知識が持ちませんので,ほとんど抜けています。大学入学後の学習も大変苦労するはずです。